木の花ファミリーとNPO法人ぐりーんぐらすは、心身の病や偏った生活習慣などの問題を抱えた方の滞在を受け入れ、自然に沿った暮らしの中で健康を取り戻していくお手伝いをする「自然療法プログラム」を提供しています。 これまで以下のような事例で症状の改善や治癒、社会復帰といった実績を上げています。
- うつ病、統合失調症、パニック障害などの精神疾患
- アルコール、ニコチンなどへの依存症
- 引きこもり、登校拒否、家庭内の不和
「自然療法プログラム」は治療行為ではないため、明確な効果を保証するものではありませんが、医療機関で長年に渡って治療や投薬を継続していたにも関わらず症状の改善が見られなかった疾患が短期間の滞在で完治するなど、多くのケースで顕著な効果が見られます。 現代医療の現場においては、精神疾患の慢性化・長期化や安易な処方による大量の投薬が社会的な問題になっています。ファミリーに相談に訪れる方々の中でも、症状の改善の見込みなく10年、20年に渡る治療を続け、一日20錠、30錠もの服薬をしているケースは決して珍しくありません。ファミリーの「自然療法プログラム」では、こうした症状を短期間で大きく改善し、断薬に成功したケースを数多く経験しており、現代医療の現場からも注目されつつあります。
自然療法プログラムのポイント1. 農を通じた心身の癒し ~ 五感で自然を感じるなごやかな雰囲気の中で楽しく農作業
生活リズムを規則正しく整えることは、あらゆる心身のケアの基本となる取り組みです。農業を生活の基本に置いたファミリーでは、明るい時間に労働し、決まった時間に食事を摂る規則正しいサイクルが刻まれているため、その生活の中に身をおくことで、無理なく生活のリズムを整えることができます。 軽い運動が可能な人は、農作業に参加することができます。四時には作業の手を休めておやつの時間を楽しむなど、穏やかな雰囲気の中で土に触れ、汗を流すことは、心身のリフレッシュに役立ちます。 ファミリーの農業はすべて無農薬の自然農法によるもので、畜産(養鶏、養蜂)も自然に近い形態のものです。こうした環境を通じて自然に触れ、生命の営みを実感することは、五感の働きを活性化し、心身の癒しにつながります。こうした農作業による癒しの効果は、園芸療法といった手法を通じて医学的にも実証されています。 2. 心身が喜ぶ自然な食生活 ~ 食を通じた生活の見直しファミリーでは150品目を超える米や雑穀、野菜など、多様な作物を栽培しています。養鶏による自然卵、養蜂による蜂蜜なども生産しており、油や塩、砂糖といった一部の調味料を除いて、ほぼすべての食材を自給しています。農作物はすべて有機無農薬栽培されており、また伝統製法による味噌や醤油をはじめとした加工品はすべて無添加で、安全で質の高い食材を提供することができます。 また、ファミリーの食生活は玄米菜食を基本としています。玄米菜食はしばしば食養生に取り入れられ、心身のケアを目的とした食事としてたいへん有効性の高いものです。 みんなでいただく菜食ごはん
こうした健康的な食事を、大家族の食卓で揃っていただきます。近年は家族がバラバラに食事を取る「孤食」も多くなっていますが、こうした食生活は栄養の偏りの原因となるだけでなく、情緒面の不安定を招くなど、さまざまな弊害が指摘されています。愛情のこもった料理を感謝の祈りとともにいただくファミリーの食卓は、「いのちをいただく」食の意義や、食を通じた人のつながりを改めて思い起こさせるものです。こうした体験を通じてケア滞在者に食生活を見直すきっかけを提供し、社会復帰後の生活環境の改善に一役買っています。 3. 心を自然体に戻す ~ 家族や社会と調和して歩むためにファミリーは、80名を超えるメンバーが血縁を超えた大家族として共同生活を営むコミュニティです。収入を平等に分配し、すべてを共有して暮らす生活は、その生活の質の高さから、ファミリーを訪れる人々にしばしば驚きを持って受け入れられています。 さまざまなバックグラウンドを持った多様な人々が調和して生活していくために、ファミリーのメンバーたちはそれぞれが全体の調和に対する意識を保ち、それに沿って行動することを心がけています。また、皆が互いに感じたことをオープンに表現し、積極的にコミュニケーションを取ることで、不満や怒りといったネガティブな感情が蓄積される場を作らないようにしています。 精神疾患に限らず、さまざまな病気や問題行動は、心理的な葛藤や周囲との摩擦が大きな要因となっていることが多いものです。ファミリーのメンバーは、日常を通じて自らの心を見つめ、不調和な点を改善していくことを常に心がけています。こうした暮らしは、ケア滞在者が自ら考え方や行動パターンを振り返り、より調和したものに刷新していくための気づきの機会を提供する場となります。 自らの問題点を見つめたり、それを率直に語り合ったりすることに、当初は抵抗を覚える人も少なくありません。しかし、皆で力を合わせて問題解決を図ることが日常となっているコミュニティの開放的な雰囲気に励まされ、多くの人が自らの心に積極的に向き合っていきます。 ケアの進め方ケアの進み方は、人によってさまざまです。同じ病気や似た症状であっても、背景や原因はそれぞれ異なりますし、また性格や気質などに応じて必要なアドバイスも違うものです。以下に、ケアの基本的な要素となる取り組みについて説明します。 ケア・サポーター制原則として、ケア滞在者にはマンツーマンの「ケア・サポーター」が付きます。「ケア・サポーター」はケア滞在者と同室で寝起きを共にしながら、ケアが円滑に進行するように日常の相談役としてケア滞在者をサポートします。 メイン・サポーターによる面談ケア滞在中は、原則として週に一度、ケアのメイン・サポーターである「いさどん」こと古田偉佐美が面談を行います。対話しながらケアの経過をたどり、改善の程度に応じたアドバイスをしたり、取り組むテーマを伝えたりします。なお、滞在者が希望した場合や、メイン・サポーターが必要と判断した場合は、臨時の面談を行うこともあります。 家族面談ケア滞在者の病気や問題行動の発生に家族関係が大きく関与していると判断される場合、当事者だけでなく家族とも積極的に面談を行い、家族全体で問題を改善していけるよう、またケア滞在者がスムーズに元の生活に戻り、同じ問題を再発させないようにサポートしていきます。 交換日記滞在者が日記を付けてメイン・サポーターに提出し、メイン・サポーターがコメントやアドバイスを付けて返却する「交換日記」を多くのケースで取り入れています。面談と合わせて、心の振り返りに大変役立ちます。 大人ミーティングファミリーでは、毎晩大人全員が集まる「大人ミーティング」を開催しています。ミーティングではコミュニティとしての運営事項を討議すると同時に、互いの内面を率直にシェアしあうことで調和的な場づくりを行うことを重視しており、ケア滞在者もその場で発言することができます。自分の考えを整理して正直に伝え、周囲からのコメントを受け入れる訓練を積むことで、バランスの取れたコミュニケーションや自己分析のスキルを向上させることができます。 生活滞在中の日常生活については、メイン・サポーターがケアの状況に応じた助言を行います。多くの場合、最初の一週間は特に課題を設定せずに、自由に過ごします。その後は、日中は農作業や家事を手伝ったり、日記を書いたり面談を振り返ったりして過ごし、夜は大人ミーティングに出席する、といった日常を過ごします。 ケアの「卒業」卒業を祝うファミリーメンバーからの寄せ書き
ケア終了の判断は、メイン・サポーターが面談の中で行います。基本的にはケア滞在中に100%の改善を目指すのではなく、70%くらいの改善をもってケア滞在を終了し、学んだ事柄を活かしながら生活の現場で更なる改善を図っていくことを目標にします。
ケア滞在の終了は「卒業」と呼ばれ、ファミリーのメンバーが集う盛大な「卒業式」が行われます。 アフターケアケア滞在終了後は希望に応じて面談やメールでの相談に応じます。また、自主的に短期滞在を行って、滞在中の学びを復習していく人も数多くいます。一定期間、ファミリーと家族同然の暮らしを送ることでメンバーとの強い絆が結ばれ、再び訪問するときには皆から「お帰りなさい」と笑顔で迎えられます。「第二の実家ができたよう」「いつでも、何でも相談できる場所ができて心強い」といった感想が寄せられています。 費用ファミリーへの滞在にかかる実費(税込1日3,240円:宿泊費、食費、洗濯代などを含む)が必要です。面談やサポーターなど、ケアに関連する活動はボランティアで提供しており、一切無償です。 ケア滞在を始めるにはケア滞在を希望する方は、原則として直接ファミリーをご訪問いただき、ケア滞在の可否を判断するための面談を受けていただきます。まずは、お電話またはフォームにてお問い合わせください。 電話:0544-66-0250(担当:沖)
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